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旧筑穂町「あかね荘」_筑穂の牛がこれからも愛されるために。

2024.04.12

筑穂町に店を構えて今年でちょうど創業60年を迎える、会席・季節料理の「あかね荘」。
名物は筑穂牛を使用したすき焼きや牛しゃぶ、ステーキのコース。筑豊を代表する老舗割烹であり、2014年にはミシュランの1つ星を獲得するなど、筑穂牛を通して県内外からのお客さんをもてなすプロフェッショナルである。



「お世話になっていた肥育農家さんが次々に無くなり始めて…残りが1軒になってしまうというタイミングでこのままじゃだめだと、思い立って筑穂牛の仔牛を2頭飼い始めたんです」そう語るのは3代目店主・井上直樹さん。
生産者の高齢化に加え、約4年前からはコロナの影響を受け肥育農家が激減する中、あかね荘は料亭と筑穂牛の肥育という二足の草鞋を履き始めた。


最初から大きく育つ穀物を与えずに、まずは地元の稲藁と瓜生さんが作る牧草・イタリアンを与えてよく食べる健康な胃を作ったのち、穀物を与えて肉付きの良い牛へと育てる。そうすることにより、グラスフェッドビーフのような赤身の旨みと、和牛ならではのサシの旨みをどちらも味わえる牛肉になるそう。

「最初の牛を出荷するまでの20ヶ月間は本当に大変でしたね」牧場の管理を担当するのは元々筑穂牛の肥育農家だった瓜生さん。
肥育農家の中でも中心的な存在で、そのノウハウで育てた牛は、良質な牛が評価される「全農肉牛枝肉共励会」にて全国3位を受賞するほど。
「筑穂牛は人肌で融けるほど脂の融点が低いんです。だから体内で脂が固まることがなく胃もたれしにくい。おじいちゃんおばあちゃんでもあっという間に完食されて、お会計の時にもう次の予約をして帰られる方もいらっしゃいます」
ブランド牛でありながらも「自分たちが毎日食べたいと思える肉であるか」を一番大切な基準として掲げている。


どの料理も筑穂牛の柔らかさととろける甘みを堪能できるよう、焼きすぎず必要最低限の味付けで仕上げる。サーロインステーキと牛しゃぶを同時に味わえる「あかねコース」6,430円

「実はですね…今度東京のホテル『雅叙園』さんでうちの筑穂牛を取り扱ってもらえることになったんです!」
筑穂牛をどこにいても身近に、より多くの人に食べてもらえるよう、全国からのお取り寄せにも対応。
「あかね荘はもちろんですが、筑穂牛がより洗練されたブランドになって、地域の誇りとなればいいなと思います」。
「筑穂」の名を残すだけにとどまらず、そのアイデンティティは更に進化を続けている。




ただいまと呟きたくなるアットホームな店構え。右から店主・直樹さん、女将・康子さん。




【あかね荘 直売所】
初めての出荷のタイミングであかね荘の隣にオープンした直売所。敷地内には加工場も設けられ、出荷したてで新鮮な筑穂牛一頭分の全部位がズラリ。約1年前からは筑穂牛ホルモンやウィンナー、肉巻きおにぎりなど24時間購入できる冷凍自販機も設置。



飯塚市山口611-2 (サンビレッジ茜入口)
0948-72-0903
11:30〜22:00 【直売所】11:00〜17:00
不定休
インスタグラム@hiizuru.akanesou
お食事は前日までの要予約。

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スーパー・ハッピー・フラワー

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