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田川郡・糸田町「ケーキハウス ボヌール」_「ちょっと材料変えても気づかれちゃう」 愛され続ける味は糸田の共通認識。

2024.02.10

「撮影って言っても、きっといつも通りの感じが良いよね。だから靴だっていつものサンダルだよ、口紅も引いてないんだから!」とお茶目に話しかけてくれたのは店長の我毛円子さん。いつ訪れてもずらりとケーキが並ぶ、ボヌールのショーケース越しに欠かせない存在だ。



奥の厨房には夫であり、3代目パティシエの正時さん。子どもの頃から厨房が遊び場で、ケーキが生まれる流れや手さばき、息づかいは感覚として染み付いていった。次第に一度工程を見ればそのケーキが作れてしまうように。「仕事の進め方、向き合い方なんかも働く人をじっと見てたらわかるようになってましたね」名古屋で2年、フランスで1年の修行を経て、社員800人規模の大手製菓会社へ。4年余りで副社長にまで上り詰めた。



常に動き続ける手から響く音はリズミカル。次から次へと形の整ったケーキが銀色の作業台を彩っていく。「この動きなんて、一体何回やってるんだろうね。何千、何万回にもなるんじゃない?」ホイップする動きを同じく何千、何万回も見てきたであろう円子さんの眼差しからは、衰えない好奇心と愛おしさが見えた。

「雨の日も雪の日もプリンを買いに来るおばあちゃんがいたりね、最期にうちの羊羹が食べたいって来てくれた人もいました」。名物「ダイヤの山羊羹」を始め、これまでに生まれたメニューは1000種類を超える。「今でもあの時のあれ食べたいって声が多くて、店頭にないものも書いた裏メニューなんかを近々作っちゃおうかなと思ってるんです」



フランス語で「幸福」の意味を持つ「ボヌール」。続いてきた味を守りながらも人々の幸福を彩り続ける秘訣は、常に進化を遂げ続ける姿勢にあった。


大きめのショートケーキ、その名も「ジャンボ」。少人数でちょっとずつ、1人で贅沢に。


ミルク感たっぷりのぽわぽわクリームに包まれる「プリン」300円。最後にはカラメルが登場!


「モンブラン」330円。みんなで取り分けられるロールケーキタイプも。店名は幼少期に洗心書道創始者の先生に習っていた正時さん書。100枚書いた中の3枚目を採用したんだとか。


昭和45年の日本万博博覧会にて万国博大賞を受賞した「ダイヤの山羊羹」。材料は96年間変わっていないが、その日ごとに違う温度や湿度などで味や食感が変わるため、毎回細かくデータが書き残されている。「お菓子作りは化学だからね」と言いつつも、最終的に目指すGOを出すのは正時さんに染み付いた先代の味の記憶だ。


不動の人気「イチゴショート」520円。 ケーキに合うフルーツ選びへのこだわりも抜かりない。

変わらない味を守りつつ、その時のニーズにも応えるのがボヌールの方針。乳製品アレルギーのための「ソイロール」や、ダイエットしながらでも食べられる希少糖を使ったスイーツも開発中。


田川郡糸田町3667-5
0947-26-2211
10:00〜19:00(日曜のみ〜18:00)
不定休
インスタグラム@cake.house.bonheur

この記事を書いた人

スーパー・ハッピー・フラワー

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