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筑豊でartする #6「『山の向こう』と『あい』の眼差し maruiko」

2024.01.10

筑豊でartする。筑豊には昔から多くのartが存在しています。このコーナーでは、筑豊地域のアーティストが集ったNPO法人アーツトンネルが独自の視点で、筑豊にあるartを紹介していきます。

筑豊でartする #6
「山の向こう」と「あい」の眼差し maruiko



嘉麻市を走る赤いバス

嘉麻市をドライブしていると見かける赤いバス。バスには、子どもや動物のほか、嘉麻市にちなんだ様々なイラストが描かれている。キャラクターたちは可愛らしく、カラフルに描かれていて、見る人を明るく楽しい気分にさせてくれる。このイラストを制作したのは、嘉麻市在住のイラストレーター、シンガーソングライターであるmaruikoさんだ。嘉麻市で生まれ育った彼女は、嘉麻市で暮らし、イラストを描き、デザインし、歌を唄うことを生業としている。彼女のイラスト、デザイン、歌は、筑豊地域だけにとどまらず、WEBや様々なアイテムを通じて全国にひろがっている。

「愛」の眼差しと「山の向こう」

maruikoさんのイラストやデザインは、はちみつ屋さん、雑貨屋さん、お祭りのポスターなど、どれも可愛らしく、優しく、描いた対象への眼差しを感じることができる。その眼差しは「愛」にほかならない。また、彼女の歌には嘉麻市の風景を唄ったものがある。「水張る田んぼ、萌える青、黄金の草花」と彼女は歌う。「大事なものは、山の向こう」代表曲『山』は、彼女が都会で暮らしていた時、「山の向こう」にある故郷を想って制作された楽曲だ。

活気を失う街と輝く「山の向こう」

炭鉱があった筑豊地域には、栄華と衰退の歴史がある。こと、嘉麻市には大きなヤマがあり、多くの炭鉱労働者が暮らしていた。しかし、閉山とともに街は賑わいを失っていった。その歴史を経て、私たちは、今、筑豊(ここ)で暮らしている。maruikoさんは1985年生まれ。彼女の成長と反比例するように、街はだんだんと活気をうしなっていった。多くの若者は都会を目指し、輝いて見える「山の向こう」へ出ていった。そして、「山の向こう」に行ったmaruikoさんは、都会から「山の向こう」の故郷を唄った。どこにいても彼女はすべてを「愛」の眼差しで眺めているように感じる。

シャッターの閉まった商店街に

2023年11月26日、歩行者天国となった上山田商店街で「山田ブギウギまつり」が開催された。彼女が手掛けたそのお祭りのポスターは、多種多様な人たちが楽しそうに商店街を闊歩する様子がいきいきと描かれていた。イベント当日、上山田商店街には、地域内外から多くの人が集まり、多種多様な人たちの楽しそうな笑顔が溢れていた。彼女はポスターを描いた時すでに、その光景を想像していたのだろう。お祭りが終わり、シャッターの閉まった商店街を赤いバスが走っていく。どこにいようと日々は流れ、時代は流れていくのだ。彼女の歌『あい』はこのような歌詞で締めくくられる。「愛とはいつでもすぐそばにあるのね。いつでもくだらない事で笑おう怒ろう生きていこう」


【PROFILE】

maruiko
福岡県嘉麻市(旧・山田市)出身・在住 2007年よりイラストレーターとして活動を開始。 展覧会などで作品を発表する他、筑豊地区にとどまらず、国内各地で様々な媒体のイラストやデザインを手がける。 また2010年から「まるやまももこ」名義でウクレレ弾き語りを開始。 様々なイベントやライブハウスなどで音楽活動も行っている。


【CHECK IT OUT !】

「トンネル市 vol.5」

トンネル市は、アーティストの作品やグッズが、手軽に買える期間限定のショップです。maruikoさんをはじめ、筑豊ゆかりのアーティストや近隣地域で活躍中のアーティストの絵や陶器、雑貨や人形などの作品が勢揃い!ぜひお気に入りの作品を見つけに来てくださいね!
参加作家:つっちゃん/季節の手紙や/草花ノ香リ/陶器つる岡 鶴岡誠/nëlcö/maruiko/八尋eito恵 etc
日時:2024年1月20日(土)・21日(日)12:00-17:00
場所:アーツトンネルGALLERY(いいかねPalette1F)
イベント詳細ページはこちら


 

この記事を書いた人

NPO法人 アーツトンネル

アーツトンネルは、筑豊にアーティストの拠点を作り、新たな文化が生まれ、育っていくような場所を目指したNPO法人です。美術家や写真家、振付家などの肩書きを持つ11人で構成されています。ホームページはこちら

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