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筑豊でartする #13「artを歩み続ける 中村禎仁」

2024.08.10

筑豊でartする。筑豊には昔から多くのartが存在しています。このコーナーでは、筑豊地域のアーティストが集ったNPO法人アーツトンネルが独自の視点で、筑豊にあるartを紹介していきます。


筑豊でartする #13

artを歩み続ける

中村禎仁





インスタレーションアート


真っ黒な紙が敷き詰められた部屋。ここは田川市美術館の展示室である。黒い紙と照明があることで、いつもとは全く違う様相になったこの空間は、インスタレーションアートと呼ばれる作品の一つ。作者は、アーティストであり、田川市にある廃校利活用施設いいかねPaletteのスタッフでもある中村禎仁さんだ。展示室に入ると暗い空間の真ん中に道がある。その道はよく見ると鏡になっていて、そこには天井の電灯が映っている。道を進んでいくと、日暮れの中でスマホの光を観る男の絵が飾られている。しばらく中にいると暗闇と光の境界がわからなくなる、とても不思議な作品だった。

テーマは「光と闇」

大学卒業後、様々な人との出会いからartに興味を持った中村さんは、現在に至るまで約14年間、アーティストとして作品を発表し続けている。彼の最初の展示は、田川市にあったオルタナティブスペースhaco(現在は閉鎖)での個展『サラダはじめました』。室内の壁全面に蛍光塗料で絵が描かれ、それらの絵はブラックライトを充てると怪しく光って見える。以降、彼は「サラダメニューシリーズ」と題して「光と闇」をテーマに作品を発表し続けていく。


「サラダ完」からはじまる

中村さんが働いている「いいかねPalette」は旧猪位金小学校をリノベーションした施設だ。2021年、彼はあるプロジェクトを企画した。それは施設内の空き教室を使って、毎月作品を変える展覧会(個展)を12ヶ月連続で行う『サラダ完』というプロジェクトだった。この企画には、中村さん自身の新しい表現を探るため、それまで彼が取り組んできた「光と闇」をテーマにした「サラダメニューシリーズ」という作品群に区切りをつける、つまり【「完」(おわり)にする】という意味合いがあったのだという。このプロジェクトを行う中で、彼はあるアイデアを思いついた。「この展示スペースを、展覧会終了後もギャラリーとして使ったらおもしろいかもしれない」


新たな表現に挑む

中村さんは田川のアーティスト仲間だった佐土嶋洋佳さんにそのことを相談し、そこで誕生したのがNPO法人アーツトンネルである。中村さんは現在、いいかねPaletteとアーツトンネルで活動しつつ、アーティストとしても新たな作品を生み出し続けている。「サラダメニューシリーズ」の後、彼は絵画作品や竜巻を起こす装置を使ったインスタレーション作品を制作し、新たな表現に挑む。彼はartを歩み続けている最中だ。現在、田川市美術館で行われている展覧会「やみとひかりの美術館」にも出展し、右の写真のインスタレーション作品を制作。この展覧会は2024年9月1日まで開催されるので、中村禎仁さんが作り出した空間を是非、体験していただきたい。


【PROFILE】

中村禎仁(なかむらさだひと/美術家)

1982年 福岡県田川郡生まれ。
光と闇をテーマに日常に存在する曖昧な事象によって引き起こされる情緒を表現している。

この記事を書いた人

NPO法人 アーツトンネル

アーツトンネルは、筑豊にアーティストの拠点を作り、新たな文化が生まれ、育っていくような場所を目指したNPO法人です。美術家や写真家、振付家などの肩書きを持つ11人で構成されています。ホームページはこちら

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