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山と木から育てる、百年以上続く「藤川椎茸園」。5代目が見据えるこれからの話。

2024.08.10

英彦山の麓で120年以上代々受け継がれている椎茸園。自然豊かな山林で育まれる無農薬の原木椎茸は、かつて(個人規模で)日本一の生産数を誇っていた。添田町が全国に誇る名産品だ。


人工ほだ場では山林の環境を再現。

「50年くらい前までは、鉈目栽培といって木にナタで傷をつけて、山の中で風にのってきた菌が付着するのを待って栽培してたみたいで。椎茸栽培って、ギャンブルやったんですよね。マツタケよりも椎茸が高級だった時代もあったとか…」。取材開始早々に興味深い話を教えてくれたのは、5代目の藤川徹さん。



菌床しいたけが市場流通の大半を占めるなか、山林の環境を活かした原木椎茸栽培を代々、120年以上続けている。風にのってくる菌ではなく人為的に菌を打ち込める「種駒」を使用すること以外、基本的な栽培方法は変わらない。原木となるクヌギを20年かけて育て、伐採し1メートル単位に切りそろえた「ほだ木」に種駒を打ち込み、仮伏せ・本伏せして菌を巡らせる。その過程で木の上下を入れ替えたり、日当たりなどの環境を整え続ける。乾燥以外は、ほとんど手作業。太陽や山の、自然の力をかけて育まれていく。



竹林のぼだ場。竹は成長が早く伐採も容易なため、日当たりの調整が行いやすいそう。ここだけでもかなりの本数が並ぶが、全体でこの10倍ほど、全て集めるとPaypayドームほどの面積になるそう。

 「(原木椎茸は)非効率の極みです(笑)。春と秋しか収穫できないこともあって、これ一本でやっているところは、相当少ないはず」。膨大な手間と自然の力で育まれた肉厚の椎茸は「やっぱり出汁というか、旨味が段違い」と徹さん。


収穫したものの9割以上は乾燥椎茸として販売。専用の機械で丸1日かけて、じっくりと乾燥させる。

菌床しいたけが普及する前、祖父の代では日本一の原木椎茸生産量を誇っていたほどで、徹さんも「箸の持ち方を覚えるくらい自然に」幼少期から椎茸栽培に触れてきた。


原木しいたけの収穫シーズンは春と秋のみ。無農薬で、自然の力で育まれる。クヌギの厚い皮を破ってエネルギッシュな椎茸が。

「乾燥機も24時間気にかけてないといけないし、大変なのは身にしみてわかっていました。ただ、親父もずっと楽しそうに仕事してたんですよね」。大阪で会社員として営業職に就いていたが、父親が肺を悪くし山に入るのが難しくなった状況を見て帰郷。商品開発や、廃棄されていた軸や栽培を終えたクヌギの有効利用など新しい取り組みを行うだけでなく、添田町全体のまちづくりや活性化、地域の子どもたちの食育にも携わる。「巡り巡って、原木椎茸に触れる人が増えていったらいいなと。そのためには、まち全体も、まだまだ盛り上げていきたいです」。


原木を浸水させることで、初夏ごろにも収穫を可能にする施設。徹さんが岐阜にある気鋭の椎茸農家で学び、つくりあげた。


希少な生椎茸は、徹さんの尽力で徐々に流通量を伸ばしている。6次化にも積極的に取り組み、商品ラインナップも多数。道の駅「歓遊舎ひこさん」で購入できる。


【藤川椎茸園】
田川郡添田町桝田432
0947-82-1270
インスタグラム@fujikawa_shiitake_farm
商品は歓遊舎ひこさんや筑豊内の各直売所等で販売

この記事を書いた人

ババケンタ

チクスキ(推定)4代目編集長です。田川・猪国に暮らしています。長崎〜北九州〜岡山〜東京を経て田川に移住しました。学生時代は小倉競馬場がキャンパスの眼の前にあったにも関わらず、公営ギャンブルの類には一切手を出さなかったという強靭なメンタルを持ち合わせています。

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