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筑豊でartする #10「出会いとともに踊り続ける 緒方祐香」

2024.05.10

筑豊でartする。筑豊には昔から多くのartが存在しています。このコーナーでは、筑豊地域のアーティストが集ったNPO法人アーツトンネルが独自の視点で、筑豊にあるartを紹介していきます。


筑豊でartする #10

出会いとともに踊り続ける

緒方祐香



ダンス・ダンス・ダンス

佐賀県基山町出身の振付家/ダンサーである緒方祐香さんは3歳からクラシックバレエを習い始めた。踊ることが大好きだった。高校生になると彼女は友人と一緒にヒップホップダンスを始める。2000年〜2003年頃、福岡市の路上やクラブは、ダンスやスケートなどのストリートカルチャーが溢れていて、各地から様々な人たちが集まっていた。「バレエの舞台以外にもステージがある」彼女にとって、路上も、クラブのステージも、劇場も、ダンスを踊るための同じ舞台だった。高校を卒業する時、彼女は世界で最も輝かしい舞台を目指す選択をする。

ニューヨークにあったもの

「大学に進学しない代わりに、留学させてほしい」緒方さんは両親にそうお願いした。ニューヨークでミュージカルをしたい。それは、ミュージカルの本場で踊るということ。ニューヨークに渡った緒方さんは、ダンスレッスンを受ける傍ら多くの本場のミュージカルを観た。ところが彼女は、当時の感覚で言うと「【これぞ正解である】という表現」や「絵に描いたような表情で踊るダンサーたち」を観て「これに人生をかけるのは私には合わないかも」と思った。しかし、留学の期間はまだかなり残っている。目的を失った緒方さんは、学校でダンスの授業をこなす中で、モダンダンスの1つであるリモンダンスに出会う。そして、そのリモンダンスは彼女にさらなる挫折と出会いをもたらす。
※モダンダンスとは、伝統的な形式や手法のない現代的な舞踊のことを言う

「ダンス≠動きを真似る」という気づき

「土をつかむ」「骨の動きを感じる」緒方さんはリモンダンスの授業で先生が言っているそれらの「メソッド(方法論)」がよく分からなかった。そのダンスは「動きを真似ること」で「踊れている」と思っていた今までのダンスとは明らかに違っていた。さらに言葉の壁、外国にいる疎外感も重なり、何度も授業を飛び出し、廊下のベンチで泣いた。そんな彼女に「どうしたの?」とタオルを差し出してくれた人がいた。その人は、文化庁芸術家在外派遣員としてニューヨークに滞在していた日本のコンテンポラリーダンス界の第一線をいく菊池尚子さんだった。
※コンテンポラリーダンスとは、今までのダンスの「動き」や「概念」にとらわれないジャンルレスな舞踊の総称

0から創作する神楽

菊池さんとの出会いから、緒方さんはダンスの理解を深め、ニューヨークでいくつもの舞台に出演。その後、帰国し、関東に新しく開設した菊池さんのダンススタジオで10年間ダンサー兼指導者として働いた。そして、福岡でダンスの仕事をするべく、故郷の基山町に帰ってきた時、嘉麻市にある射手引神社の神主である桑野隆夫さんと出会う。「神楽の創作に協力してほしい」緒方さんにとって、桑野さんとの出会いは、舞踊家として次の舞台に進む機会となった。嘉麻市に移住した緒方さんは、0から創作する「弥栄神楽」の振り付け、舞の指導に携わる。また、彼女は嘉麻市で子ども向けのダンス教室を開き、筑豊地域の子どもたちにダンスの楽しさを伝えている。「ニューヨークも、福岡市も、嘉麻市も、人との出会いの大きさは変わらない」出会いとともに踊り続ける緒方さんが振り付けを担当する弥栄神楽は2024年5月12日(日)に嘉麻市射手引神社で奉納される。


【PROFILE】

緒方祐香
福岡県嘉麻市在住。3歳より踊り始める。高校卒業後3年間のNY留学を経て、菊池尚子のもとでコンテンポラリーダンスを本格的に学ぶと共にカンパニーダンサーとして活動。2014年より新しく立ち上がった「弥栄神楽座」の振付を務める。

この記事を書いた人

NPO法人 アーツトンネル

アーツトンネルは、筑豊にアーティストの拠点を作り、新たな文化が生まれ、育っていくような場所を目指したNPO法人です。美術家や写真家、振付家などの肩書きを持つ11人で構成されています。ホームページはこちら

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